2012年03月30日
新刊が出来ました、野津唯市画集「懐かしい未来 沖縄」

野津唯市画集「懐かしい未来 沖縄/和合…神・人・自然・暮らし」で、球陽出版で本格的な画集を扱うのは初めてです。野津さんの作品は、沖縄の風土や生活文化を見事に表現し、見る人にほのぼのとした懐かしさと躍動感を与えます。その芸術性も高く評価され、沖展をはじめとする二科展や沖縄芸術祭美術展、那覇市民芸術展などでも多数入選し、高い評価を受けています。どの展示会場でも、野津さん作品の前には多くの人が群がり、他の作品を圧倒しています。中には鳥肌がたつほど感動したと、感想をくれる人もいます。
野津さんの作品が、幅広い年齢層に圧倒的な支持を得ている訳を、出版の過程で私自身気づかされたものがありました。
それは、作品一つ一つじっくり見れば分かることですが、作品に画かれているのは単なる風景画、人物画ではありません。あるいは単なる自然でもありません。そこに生きている「生命」が画かれています。輝ける生命です。ただ生きている生命ではなく、輝ける生命です。
作品ひとつひとつには、輝ける生命がどこから来るのか、それを示唆しているようにも見えます。
自然もただ自然があっただけでは、生きたものにはなりません。その自然を受け入れ、日々の恵みに感謝して喜びを表す人間を始めとする動物・植物がいて、そこではじめて生命が輝きます。ですので自然は、それを評価し喜んで認めてくれる対象が必要です。自然も人間も、それぞれが単独では存在しえないのです。お互いがお互いを必要としています。その絆にこそ生命が宿っているのです。
そう1「絆」です。絆はお互いがお互いを必要とする、関わりの中で生存しているということです。
「絆」の中にあってこそ、人も自然も暮らしもすべて輝くのです。
今回の東日本大震災で多くの命を失いました。その命とは何だったのでしょうか。
やはり「絆」ではないでしょうか。
親と子の絆、夫と妻の絆、家族の絆、家族と地域の絆、同じ日本人としての絆、世界的規模では同じ人間としての絆、すべてが絆によって生かされているように思います。
絆を失ってはじめて「絆」の大切さを多くの人が再確認したのではないでしょうか。
現代人の多くが感じる閉塞感も、自分は親から必要とされてない、家族からも必要とされてない、地域からも必要とされてない、この世からも必要とされてないと、勝手に思い込むようになるから、生命に輝きを失ってしまっているのです。しかし、本来の姿はお互いがお互いを必要とする世界であり、お互いがお互いを頼りとする世界です。そこに生命の輝きがあるのです。
今は闇の時代です。
物が豊かになればなるほど、相手を必要としなくなりつつあります。そこは他人を必要としない闇の世界です。
大震災によって闇にひとつの光が照らされました。
それは「絆」です。
お互いがお互いを必要とする世界こそ、本来あるべき姿だと気づき始めました。
そのような時、今回球陽出版で発行した「懐かしい未来 沖縄」の野津さんの画集は
まさに時期をえた出版だと思います。
繰り返しになりますが、野津さんの画集で画かれているのは「絆」です。
多くの人が感動を覚えるのも、作品のひとつひとつに「絆」を見出すからだと思います。
作品の一つ一つに必ずストーリーがあります。この人はこういう人、この人とこの人とはこういう関係があると、画かれている一人一人を全員説明されます。お互い一人一人結ばれている「絆」を綺麗に説明されるのです。説明を聞いていると、この人はこういう理由で、この人を必要としているんだ、と画かれている人達の躍動感が伝わってきます。
来週から書店に並ぶ予定ですので、是非手に取って見て下さい。
定価3,000円(税込み)で球陽出版のHPでも申し込みを受け付けています。
Posted by 呉屋弘光 at 20:59│Comments(2)
│お知らせ
この記事へのコメント
こんばんは♪ビィーナスベリーダンスクラブの貴人です。いつも、中身の濃いブログを読ませて頂いています。私も、ダンスの創作をしておりますが、踊りも一つの芸術の作品だと思っています。。生徒さん達のチームワーク、絆がなければ、いい作品は生み出されないので、
絆は、本当に大切だと思います。
絆は、本当に大切だと思います。
Posted by 蝶々貴人
at 2012年03月31日 01:06

貴人さん、
いつもコメント有難う。
私も今回の画集の出版で、芸術の持つ力、可能性を教えられました気がします。一人一人の心をひとつにしてくれる力を秘めていると思います。「絆」を大きく支えているのが芸術の力だと思います。
いつもコメント有難う。
私も今回の画集の出版で、芸術の持つ力、可能性を教えられました気がします。一人一人の心をひとつにしてくれる力を秘めていると思います。「絆」を大きく支えているのが芸術の力だと思います。
Posted by 呉屋弘光
at 2012年03月31日 07:09

※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。