二科会沖縄支部長西村貞男さんに書評を依頼しました
野津唯市画集「懐かしい未来 沖縄」より
昨日、野津唯市画集「懐かしい未来 沖縄」が入荷したので、二科会沖縄支部長西村貞雄さんにお会いして、本が出来た事を報告し、書評を書いてくれるよう依頼しました。野津さんは二科会の会員ではありませんが、二科会にも多数出展し、入選もしておられます。西村貞雄さんには、今回の本の最後に「野津唯市を語る」として、寄稿して貰いました。
野津唯市さんの風景画には、ほとんど人物が入っており、ストーリー性があるために画面構成が面白い、と話しておられました。
ストーリー性があるということは、描かれた一人一人に物語があるということです。
物語があるということは、互いがその人の立場、役割を理解し、ともに助け合って生きている、ということに他なりません。だから、野津さんは描かれている一人一人について、そして互いがどういう関係にあるのか、ひとつひとつ説明されます。その話を聞きながら絵画を眺めていると、自分の心の底に眠っている魂が揺さぶられるような感動を覚えるのだと思います。
野津さんの作品は、ほとんどが戦前の沖縄の日々の生活が描かれていますが、不思議なことに戦前の事を全く知らない若者にも、野津さんの話しを聞いていると、胸に迫ってくるものがあると言います。年輩の方が作品を見て、昔の懐かしい姿だと、胸に迫るものを感じるというなら分かりますが、それを知らない人が、胸に迫るものを感じるというのは、単なる郷愁の思いだけから来るのではありません。
それは「輝く命」「強い絆で結ばれた世界」を
ひとりひとりが感じ取るからではないだろうか。
「輝く命」「強い絆で結ばれた世界」は野津さんにとって、戦前の沖縄だったかも知れませんが、ひとりひとりには誰もが「絆で強く結ばれた世界」をもっています。
「絆」の字は、糸+半で出来ています。
糸には繋ぐ、一つにするという意味があります。
そうです!
人間には完全・完璧はいません。
どこか欠けています。
完全でいるのは神のみです。
人間は半分で半分で出来ています。
半分同士がひとつになって完成します。
本来なら、互いが互いを必要とするように創られています。
互いが互いを必要としていることを認め合った世界こそが
「絆で強く結ばれた世界」ではないでしょうか。
その時、お互いがお互いの役割を果たせるのです。
自分は今、何をすれば良いかを見出すのです。
そこに「輝く命」があるのです。
野津さんの作品ひとつひとつは、
「輝く命」を見失い、
眠っている現代人の魂を覚醒させる力があると
西村貞雄さんと話しながら、その思いを強くしました。
関連記事